ねんりんピック山口 美術展ねんりんピック山口2020(山口県健康福祉祭)「美術展」金賞作品
2020年06月15日
【日本画の部】
藤の花は咲き始めてから最後の花が開花するまで枯れずに待っているそうです。幽(かそけ)き息吹が心に積もります。
講評
見事に咲き誇った藤の花を全面に描き、そこに青いカワセミが1羽飛び立つ光景を象徴的に描き切った作品。花々の華麗さを強調しながらも、単なる装飾的なだけの画面に陥らず、品格あふれる作品に仕上げることができたのは、ひとえに作者のしっかりとしたと写実力と構図をまとめあげる構想力にあると思う。
凍てついてしんと静まりかえった森の朝、一条の光が射し樹氷達が1つまた1つ溶け始め落ちていく雫の音があちこちで歌うように奏ではじめた。
講評
墨絵の妙味をいかんなく発揮した作品。木立の中に散らばった小枝が、まるで抽象的な文様のような景色として再現されている。墨の濃淡、かすれ、ぼかしとあらゆる繊細な技法が駆使され、自然の象徴的な形象を作品化できる作者の確かな描写力には感心せざるをえない。
【洋画の部】
○「秋色(あきいろ)に染(そ)まる深碧(しんぺき)の滝(たき)つぼ」 勝 谷 雅 子(下関市)
白糸の滝を訪ね、念願の作品になりました。出品してみることに致しました。
講評
完成度の高い風景画。作者は今までに相当な数の風景画を描いていると思われる。今後も期待したい。
尾道の街並みを見下ろす展望台付近からの風景です。秋を感じるきれいな夕日と、その光に照らされ、ゆらめくクモの家族に目がとまり、絵にしました。
講評
こちらも完成度が高い風景画。太陽が山に隠れる瞬間の光線の表現とクモの巣を描き込んだ視点が目を引いた。
【彫刻の部】
目が「うろうろ」して、しまいました。
講評
一枚板からとても丁寧に彫られている。向日葵と鶏をモチーフに構成された構図や彫りも素晴らしい。点在している白が軽妙である。
厚さ6㎝、縦40㎝、横70㎝のヒノキの一枚板より1個づつの輪が繫がるように切り抜いて作ったものです。
講評
一枚の板を十一列の鎖として掘り出している。単純明快な造形であり、計画的で正確な作業である。風に揺られて鳴る木の音も作品の一部となる。
【工芸の部】
手びねりで作りました。井戸形はなか⌒難しい。釉薬の雰囲気はまずまずでした。
講評
土がじつに伸びやかに立ち上げられており、気持ちの良い器の形に成っている。手どりも軽く、一服を喫するに相応しい機能性も備えており、いわゆる「用の美」を満たしている。釉色はややくすんだ中間色調となって、化粧として打たれた鉄(見島土)とのコントラストを弱めてしまったのが残念だ(侘びた風情は使用するうちに生ずると考えて欲しい)。
○「光(ひかり)を抜(ぬ)けて春近(はるちか)し」 本光 壽子(山口市)
入学式、新学期とわくわくする気持ちで春を待ちますが私も新年度何にチャレンジしようかと楽しい気持ちで描いてみました。
講評
日増しに陽光の豊かさを感じる早春の情感を大画面に斬新なアングルを用いて染め抜いた表現が力強い。作り手の屈託のない染色技法への理解がなせるところが、感覚の大らかさが表現の豊かさへとつながった好作例といえる。
【書の部】
○「王維(おおい)の二首(にしゅ)」 吉 井 德 行(美祢市)
面白くもない習字を始めたが段々と字の奥深さにはまり今は色々な書体を書いてみたくなり王維の二首を書いて見ました。又、大病を患い止めようと思ったが家内に背中を押されやっと書きました。
講評
全体的に達者な作品であるが、個々の字に慎重さがほしい。
講評
非常に大切な線で慎重な作品。見事な出来映えである。
【写真の部】
○「“ありがとうの心(こころ)”」 藤 本 武 昭(周南市)
一年の豊作と無病息災に感謝の光景を和紙仕上げ方でプリントする。
講評
ひなびた小さな祠のある広場、よく見れば依代の大木が境内をおゝい、地元の人が大事に守っている。そんな風景を画像処理で幻想的に表現している所が素晴らしい。
川の浅瀬にいたミサゴが飛び立とうとしているところを撮りました。
講評
ミサゴの力強い羽ばたきを飛沫とともにとらえた一瞬のシャッターチャンスが美しい。光の向き、バックの処理など技術的にも上手い。